COLUMNS
2024.3.15
BACK IN THE 1970s~「込めたのは大阪愛!?」(大阪中之島美術館)
戦後の日本を代表するデザイナー・早川良雄《国立国際美術館開館》
大阪中之島美術館
やさしくも芯のある美術館のポスター
早川良雄は大阪を代表するグラフィックデザイナーの1人。この作品は1970年の大阪万博の会場に建てられた「万国博美術館」が、国立国際美術館として1977年に開館した際のポスターです。描いているのは、建物そのものではなく白い円柱のようなもの。なぜ美術館のモチーフがこの形であるのか、なぜ真っ白なのかという理由は明らかにされていませんが、淡いパステルの色あいとどっしりとそびえる円柱の組み合わせが、早川ならではのやさしくも芯のある世界観を強く印象付けています。
早川の経歴をさかのぼると、最初に就職したのが大阪にある百貨店の装飾部で、戦後別の百貨店の宣伝部に転職した後フリーランスに。1961年には東京に進出し、顔シリーズ・形状シリーズなどの代表作をはじめ、斬新な広告やポスターを多数手がけます。
自身のデザインを追求しながら活躍の場を広げた早川が、この国立国際美術館開館のポスターを制作したのは東京に移ってからのこと。生まれ育った大阪への想いを込めて、デザインに向き合ったのかもしれません。
▲写真は、早川良雄《国立国際美術館開館》1977年 大阪中之島美術館蔵