EXIBITION

2025.11.10

興祖微妙大師650年遠諱記念特別展 「妙心寺 禅の継承」(大阪市立美術館)

2026.02.07 – 2026.04.05

大阪市立美術館

image

概要

京都の西郊、風光明媚な花園の地に広大な敷地を誇る臨済宗の大本山、妙心寺(みょうしんじ)。大きな山門や仏殿、法堂(はっとう)を中心にして約40もの塔頭(たっちゅう)寺院が並ぶ境内の光景は圧巻です。かつてこの地は、花園法皇(1297-1348)の離宮御所があり、それを建武4年(1337)に関山慧玄(1277-1360 かんざんえげん 無相大師)を開山として禅寺に改めたのが妙心寺になります。応永6年(1399)には足利義満の不興を買い、寺領を没収されるなどの不遇の時期もありましたが、永享4年(1432)には中興し、さらには戦国武将たちの寄進を受けて多くの塔頭が造営されました。そのため、この時期に描かれた狩野派や長谷川派、海北派などの桃山絵画の宝庫としても著名です。

さて、妙心寺開山である関山の唯一の弟子となるのが授翁宗弼(1296-1380 じゅおうそうひつ 微妙(みみょう)大師) です。妙心寺の第二世として、初期の妙心寺を整備し、基礎を作った高僧です。本展は、その授翁の六百五十年遠諱(おんき)を記念して企画いたしました。妙心寺の歴史や、禅宗美術、桃山絵画などの日本美術の白眉ともいうべき妙心寺の至宝を通じて、関山から授翁を経て、現代の我々へ引き継がれた妙心寺の禅の系譜をみていきます。

また、地元大阪の妙心寺派寺院で行われている最新の寺宝調査の成果もあわせて紹介する予定です。絶え間なく継承されてきた妙心寺の禅の神髄を、本展を通じて体感いただけましたら幸いです。

 

本展のみどころ

開山忌(かいさんき)の大方丈(おおほうじょう)での設(しつら)えを再現

開山忌は妙心寺開山・関山慧玄の忌日の法要で、1年のなかでもっとも重要な法要のひとつです。近年、江戸時代における開山忌では大方丈で特別な設えによる荘厳(しょうごん)がなされていたことがわかりました。狩野山楽筆「龍虎図屏風」や海北友松筆「花卉図(かきず)屏風」といった「妙心寺屏風」の異名を持つ大型の屏風群が立て廻され、金碧(きんぺき)の豪華絢爛な設えが現れます。さらに、妙心寺の法系を伝える高僧の頂相(ちんそう)や墨蹟のほか、「十六羅漢図」が堂内に掛けられます。このような寺宝中の寺宝で壮厳された開山忌の風景を紹介します。

 

狩野山楽・山雪による天球院襖(ふすま)大公開

天球院は、寛永8年(1631)に池田輝政の妹、天球院殿によって創建された妙心寺の塔頭です。狩野山楽・山雪父子によって描かれた方丈の襖絵は、金地濃彩の鮮やかな彩色が現在でも色鮮やかに残り、その豪華絢爛なさまは観る者の心をつかんで離しません。まさしく桃山絵画を引き継いだ、江戸初期絵画の代表的な名作です。普段は非公開で、なかなか目にすることのできない襖絵を塔頭内と同じ形で再現展示することで、金碧画の最高傑作を十二分に味わっていただきたいと思います。

 

大阪の妙心寺派

大阪府内には現在、約50ヵ寺の妙心寺派寺院があり、本展開催にあたり、うち11ヵ寺で文化財調査を実施しました。興味深いのは、平安~鎌倉時代の仏像などといった、創建時よりも古い像を安置している寺院が複数あったことです。おそらく妙心寺派として教線を広げていく際に、それ以前の由緒のある寺院を引き継いでいった考えられます。また、白隠慧鶴(はくいんえかく)やその弟子の東嶺円慈(とうれいえんじ)(1721-92)といった江戸時代の妙心寺派の高僧の書画も多数確認され、妙心寺の禅の教えが広まった様子を示しています。地元大阪の妙心寺派の寺院に伝わる普段非公開の寺宝を展示し、あまり知られていない大阪の豊富な文化財について紹介します。

 

展覧会情

最新情報は展覧会公式サイトをご覧ください。

会期 2026年2月7日(土)~4月5日(日)
休館日 毎週月曜日
(ただし、2月23日は開館)、2月24日(火)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
会場 大阪市立美術館
(HP:https://www.osaka-art-museum.jp/
〈アクセス〉
Osaka Metro谷町線/御堂筋線「天王寺駅」、JR「天王寺駅」、近鉄南大阪線「大阪阿部野橋駅」、阪堺電気軌道上町線「天王寺駅前駅」
それぞれにて下車、北西へ約400m
観覧料 一 般 2,000円(1,800円)
高大生 1,300円(1,100円)
小中生  500円( 300円)

※( )内は、前売および20名以上の団体料金。
※前売券の販売期間は12月10日(水)から2月6日(金)23:59まで。販売場所は主要プレイガイド、コンビニエンスストアなど。
※未就学児、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)。障がい者手帳等は日本の法律に基づき交付を受けたものに限ります。
※大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。
※本展の観覧券で、企画展示(常設展)もご覧いただけます。

主催 大阪市立美術館、臨済宗妙心寺派、日本経済新聞社、テレビ大阪
後援 公益財団法人大阪観光局
特別協力 京都国立博物館
企画協力 浅野研究所
詳細 展覧会公式サイトをご覧ください
その他 第1弾プレスリリース PDF 〈概要〉(2025年10月14日)