見れば思わず口元がほころんでしまう。今も昔も変わらず人々を魅了し続ける人や動物たち。大阪のミュージアムには、そんな愛らしい存在がたくさんいます。あなたの「推し」を見つけに行きませんか?
By OSAKA MUSEUMS
気になる「推し」に会いに行こう。
江戸時代の
僧侶の“夢”をのぞき見。
大阪市立美術館の「弁財天像」
元々インド神話の女神で、音楽や財福、智慧などの徳があるとされる弁財天は、仏教にも取り込まれ信仰されてきました。下半身のみに衣をまとうラフな姿でありながら、豪華な冠を戴き、冠上には耳のある白蛇がちょこんととぐろを巻いています。
画面上部の墨書には、尊海という僧侶が夢に見た姿を留めておくために描かせたことが記されています。弁財天の微笑みにキュンとするとともに、個人の夢を盗み見するような不思議な感覚が味わえます。
つぶらな瞳がきゅるん!
大阪市立自然史博物館の
「カヤネズミ」
花と緑と自然の情報センター1階「大阪の自然誌」コーナーにある「淀川のヨシ原」のジオラマ。よく観察すると、かわいい姿が隠れています。ここにいるのは、日本で一番小さいネズミの仲間、カヤネズミ。
つぶらな瞳にキュンとするこの動物は、河川敷などの草地に生える、長いイネ科植物の葉でボール状の巣を作り暮らしています。大阪市立自然史博物館では、巣の実物標本を展示しているので、合わせてご覧ください。
可愛い隠れキャラ
大阪市立東洋陶磁美術館の
「鴨形土器」
2階の韓国陶磁室の前にあるロビーには、三国時代につくられた韓国陶磁の鴨形土器が可愛らしく佇んでいます。
当初ロビーの台座には別の作品が飾られることになっていましたが、全体の姿が見えづらくなるため作品を変更することに。代わりの作品がなかなか決まらず頭を悩ませていたある日、当時の館長の夢の中に鴨形土器が現れたのだとか。完成したロビーの台座の上に置いてみると、はじめから展示するために作られたと思えるほどぴったり納まったそうです。
実は東洋初のロボット
大阪市立科学館の「学天則」
学天則は、生物学者であり、大阪毎日新聞の学芸部顧問だった西村真琴が制作した「東洋初のロボット」です。1928年に作られ各地を回りましたが、ドイツで行方不明になったとされます。その後2008年に復元され、いま科学館の展示場4階で来館者を迎えます。1時間に1度、動く様子を見ることもできます。
国籍も民族も、性別すら超越した不思議な顔立ちをしています。インスピレーションがひらめくと左手の霊感燈が光り、右手に持つ鏑矢のペンが新しいアイデアを書き記す動きをします。目や呼吸する胸も動きます。生き物のようなロボットを目指した西村真琴の意図が感じられます。
個性抜群の名脇役
大阪歴史博物館の
「文楽人形かしら『蟹』」
大阪育ちの伝統芸能、人形浄瑠璃文楽。キリっとした男前や美しい娘の文楽人形は舞台の花形ですが、中には強烈な個性を放つ人形が大勢います。極端に横長の顔が甲羅に似ていることから名付けられた「蟹」もその一つ。
飛び出た目、大きく開いた口で、からいばりの敵役を演じます。愛嬌があり憎めない顔です。ユニークな顔で役柄を伝える文楽人形のかしら。その造形からキャラクターを想像してみるのも面白いものです。
ダイナミックに微笑む
“レヴューの女王”
大阪中之島美術館の
「ミスタンゲット」
パリの芸術が花開いた黄金時代(1920年代)に、レビューの大スターとして活躍した「ミスタンゲット」。“ミス”の愛称で親しまれ、パワフルなダンスと脚線美、チャーミングな表情で舞台を彩り人々を魅了しました。
彼女のエネルギッシュな魅力を描いたのが、気鋭のアーティスト、シャルル・ジェスマール。ミスタンゲットに才能を認められ、衣装やポスターのデザインを一任されていました。彼が描いた当時の公演ポスター十数点が、大阪中之島美術館に収蔵されています。ジェスマールの死後は、ズィグが専属デザイナーとなりました。
掲載作品の中には、常時展示されていないものも含まれます。