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2024.1.10
1970年の万博を振り返る~「大阪市立東洋陶磁博物館編」
EXPO'70「大韓民国館」に集った高麗青磁の数々
大阪市立東洋陶磁美術館
青磁象嵌 童子宝相華唐草文 水注
1970年の大阪万博において、「大韓民国館」では高麗青磁などの美術工芸品が展示されました。
当時の展示品の詳細は不明ですが、万博に並んだものと同じ高麗時代の名品を、大阪市立東洋陶磁美術館では数多く所蔵しています。
中でも本作は、日本にある高麗青磁で重要文化財に指定されている3点のうちの一つ。蔓をよじ登る童子と、宝相華と呼ばれる花文が施されています。
大きな宝相華の表現は珍しく、輪郭は一つの素材に異質の素材を嵌め込む象嵌と呼ばれる工芸技法で表しています。
背景を白土で埋め込むことで文様が一層際立ち、巧みな表現はこの種の青磁の最高作と評されるほど。把手と注口の根元にも装飾が施されるなど、多彩な技法が用いられています。
高麗青磁は王朝の滅亡とともに姿を消した、いわば「幻のやきもの」。再び世に現れたのは19世紀末から20世紀初頭のことでした。
インターネットやパソコン通信の発達していない1970年代、当時の人々は初めて目にする美しい釉色に魅了され、時間を忘れて眺めたのかもしれません。